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2011.10.18更新

         医療健康 西日本新聞の記事をご紹介致します。

 ●動脈硬化や糖尿病...全身疾患とも関連 最良の薬は「歯磨き」

 歯を支える歯ぐきや骨が溶け、最終的には歯を失うことにつながる歯周病について、動脈硬化や糖尿病などの全身疾患との関連が明らかになってきている。しかし、成人の8割が罹患(りかん)しているにもかかわらず、治療を受けている人は少なく、危機意識は低いようだ。決して軽視できない歯周病の仕組みや予防のポイントについてまとめた。 (福間慎一)
 ●1ミリグラムに細菌10億

 歯は歯ぐき(歯肉)とその内側にある骨(歯槽(しそう)骨)で支えられ、骨と歯は膜(歯根膜)でつながっている。歯周病は、こういった歯周組織が炎症を起こして進行する。

 「炎症を起こす最大の原因は歯垢(しこう)。その正体は細菌の塊です」。九州大学大学院歯学研究院の山本健二教授(口腔(こうくう)常態制御学)は言う。歯の表面を触ると、ざらざらした感じがすることがある。こすると取れるやや黄色っぽい物質が歯垢だ。

 口の中には約四百種類の細菌があり、歯垢1ミリグラム中の細菌は十億個ともいわれる。歯磨きをせずに放置しておくと、細菌がねばねばした物質を分泌して集まり、歯の表面に歯垢としてくっつく。

 細菌の大半は特に害を及ぼすことはない。ただし、これが歯と歯肉の間にある深さ2-3ミリの溝(歯肉溝)に詰まると話が違ってくる。溝の中の酸素が減り、酸素のない場所を好む歯周病菌が活発になるからだ。これらが毒素を出して歯肉を刺激し、炎症を起こし、骨を溶かす。

 炎症が歯肉内部に進むと、歯と歯肉の接着部分がはがされて歯と歯肉の間のすき間(歯周ポケット)が大きくなり、歯垢がさらにたまりやすくなる。この悪循環が続く結果、歯が支えられなくなって抜けてしまう。

 詳しいメカニズムは解明されていないが、栄養バランスの悪い食生活や喫煙、ストレスなども歯周病危険因子になりうるという指摘もある。

 「歯周病のやっかいな点はほとんど痛みがなく、なかなか自覚できない点」。山本教授が言うように、痛みを感じるのは炎症がかなり進行した段階。こうなると治療にも時間と手間がかかる。

 ●菌は血管→全身へ

 歯周病については近年、動脈硬化や糖尿病などの全身疾患との深いかかわりが指摘されるようになっている。
 なぜ、口の中で起こる歯周病が全身に影響を及ぼすのだろうか。

 「口の中にたくさん走っている毛細血管から細菌が体内に取り込まれ、全身に運ばれて悪さをすると考えられる」と、山本教授は指摘する。

 歯周病が進行して深くなった歯周ポケットでは歯周病菌がさらに増殖。炎症が起きている部分は傷が開いたような状態になり、ここから血管に細菌が入りやすくなる。

 動脈の内膜が肥大し、血管を狭めることで引き起こされる動脈硬化については、10年ほど前から、歯周病菌が多い人ほど血管の肥大が認められると報告されている。動脈硬化を起こした部分からも歯周病菌が見つかっている。

 この動脈硬化は血中で変成したコレステロールが大量になり、分解する細胞が処理できなくなった結果、その場で蓄積されることで起きる。山本教授は近年の研究で、歯周病菌が出す特定の酵素がコレステロールを変成させることを発見。歯周病が動脈硬化を促進する仕組みを突き止めた。

 「動脈硬化だけではなく、糖尿病や腎炎、骨粗しょう症や関節炎など、歯周病菌がリスクファクター(危険因子)となる病気は幅広い」と山本教授。米国の研究では、妊産婦の場合は早産や低体重児の出産との関連も報告されている。

 ●力入れず5-10分

 厚生労働省の「歯科疾患実態調査」では、何らかの歯周病の症状がある人は成人の8割にみられる。特に40-50代では9割近くに及び、この約半数は進行した段階にある。防ぐ手だてはあるのだろうか。

 「歯磨きに勝る薬はない」。にしはら歯科医院(福岡市中央区)の西原廸彦(みちひこ)院長は日ごろの歯垢除去の大切さを訴える。「しかし、歯の生え方や歯並びには個人差があり、必ず大丈夫という歯磨き方法はなかなかない」

 ポイントは(1)歯肉溝や歯間を意識して磨く(2)力を入れ過ぎて歯肉を傷つけないようにブラシはペンを持つように握る(3)最低でも1日1回、時間は5-10分かける-の3点。歯科医院では歯科衛生士がその人に合ったブラッシング方法を指導してくれる。それを体得するのが歯周病から身を守る近道かもしれない。

 ただ、歯磨きで歯垢を取り除くには限界がある。歯周ポケットが3ミリ以上の深さになると、歯ブラシの先端が届かなくなるからだ。歯科で医師に直接歯垢を除去してもらうしかない。

 山本教授はこう話す。「歯間に汚れがたまりやすく、かみ合わせもよくない八重歯が『かわいい』と肯定的に受け止められる日本では、欧米に比べて全身の健康の観点で歯を考えるという意識が低い。歯周病を決して甘く見ないで、定期的に検診を受けるなどの予防を心掛けてほしい」


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練馬区・杉並区の歯医者さん「さきやま歯科クリニック」 院長 崎山 悠介

投稿者: さきやま歯科クリニック

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