練馬区・上石神井のさきやま歯科クリニックの院長の崎山です。
「歯周病と全身疾患」との関係が、多くのメディアで取り上げられるようになりました。
代表的な疾患として、「糖尿病」、「動脈硬化(心筋梗塞・脳梗塞)」、「心臓疾患(心内膜炎)」などがあります。
そして、妊産婦における「歯周病」でも、「低体重児出産」と「早産」へのリスクがあることが確認されました。
今回は、「歯周病」と「低体重児出産」、「早産」との関わりについてお話します。
「低体重児」とは、生まれた時の体重が2500グラム未満の赤ちゃんのことをいいます。「早産」は、通常よりも早い、妊娠22~36週の間に赤ちゃんが生まれることをいいます。
「低体重児」となる原因には、早産や子宮内で赤ちゃんがうまく育たないことなどが挙げられます。また「早産」の原因は、前期破水などさまざまですが、最近では歯周病も影響を及ぼす原因であることが判ってきました。
私たちの身体は、感染症によって体内に炎症がおこると、それに伴い炎症性物質が作り出されます。この炎症性物質の中には、子宮を収縮させ出産を促す物質が含まれているため、「早産」を引き起こす危険性があります。特に重度の歯周病にかかった母親の場合、「低体重児出産」や「早産」のリスクが、より高くなるといわれています。これは、歯周病にかかった歯の周りの組織から作り出される炎症性物質が、歯グキの毛細血管を通して血液中に入り込むことにより、子宮の収縮に関係していることが判ってきたからです。
妊娠中は、悪阻(つわり)によって食生活が不規則になったり、歯磨きが不十分になったり、また胎盤で作られるホルモンが歯周病の原因菌を増殖しやすくするため、歯グキの炎症が強く現れるようになります。
このように妊娠中はただでさえ歯周病にかかりやすい環境になるため、もし歯磨きが上手く出来ない場合は、うがいをするだけでもかなりの違いがあります。歯ブラシを小さなものに替えたり、歯磨き剤を使わないで歯磨きをするなど、いろんなアドバイスも受けることができますので、こうした状況になることを考慮して、妊娠する前から歯科医院で定期的に健診を受け、歯周病があれば治療を開始し、なくても予防に努めておくことが重要となります。
産後は、生まれてきた赤ちゃんのためにも、そしてその子が成長・発育する過程においても、お母さんとして正しいお口の中のケアを身につけ、母子ともに健康な身体と丈夫な歯でいられるよう、日頃から歯の健康に留意していただきたいと願っています。
(豊橋市歯科医師会・広報部Ⅰ)
東愛知新聞 2012年(平成24年)6月18日掲載
https://www.sakiyama-dc.jp/
練馬区・杉並区の歯医者さん「さきやま歯科クリニック」 院長 崎山 悠介